第二次選考通過作品・講評


11月17日(月)選考会委員による第二次選考が行われ、秀逸な作品ばかりの15点の中から慎重に協議を重ね、5点の作品が選ばれました。
また、11月3日(月・祝)より4ヶ所の巡回展示を行った模型作品展示会の来場者は、1800名を超え、来場者投票によって市民賞受賞作品が決まりました。これで、来春3月、実物作品を制作するすべての作品が決定いたしました。

市民賞

031

月出

金 景暋(キム キョンミン)

1804票中、最多得票333票を得た、
金景暋(キムキョンミン) 「月出」
に決定しました。おめでとうございます。

二次選考通過作品

023

ZORO²

岡村 光哲(オカムラ コウテツ)

025

重くて、脆くて、とても厄介なもの

中島 真理子(ナカジマ マリコ)

065

記憶のひきだし

長野 真紀子(ナガノ マキコ)

079

進化景色(都市の森)

土田 義昌(ツチダ ヨシマサ)

116

風の球体

チーム美山(チームビザン)


審査委員 講評

■選考委員長 建畠 晢(あきら)(京都市立芸術大学学長・埼玉県立近代美術館館長)
tatehata-300
マケットはどれも技術的には可能な作品ばかりで、選考会では何回も投票を繰り返し、作品を絞り込むのに苦労しました。非常にいい作品が多く、素材的にも、形態的にも、バリエーションのある作品を選べたので、素晴らしいコンペといえる結果となったと思います。それぞれが緑豊かな街路に点在するユニークなスポットとして、国立という町の魅力を演出してくれることになるでしょう。


【個々の作品講評】
023 岡村光哲
岡村さんの作品は何か生命感のあるような、不思議なユーモラスで有機的な形態で、今にも動きそうな作品です。造形的にも優れていて、街なかに置かれると、市民に親しまれるような作品だと思います。

025 中島真理子
垂直性をメインとした作品が多い中、中島さんの作品は異色で、水平な広がりをもちドーンとした存在感があります。シンプルで一見ぶっきらぼうにみえるけれど、ディテールに不思議な工夫があり、いい作品だと思います。

065 長野真紀子
長野さんの作品は、どこか神殿風の、あるいは発掘された遺跡を思わせるような形態で、白大理石と金属の組み合わせもユニークだと思います。
歴史的な建物である兼松講堂を擁する、くにたちのまちらしい雰囲気の漂う作品です。

079 土田義昌
典型的な垂直性をもつ作品ですが、4つの石のプレートが重なり合った構成が美しく、また艶やかに磨かれた黒い曲面とざらざらした白っぽい平面との対比も効果的です。リズミカルな運動感をはらんでおり、都市の空間にマッチした快い雰囲気を醸し出してくれることでしょう。

116 チーム美山
チーム美山の作品は、世界地図を陶芸のタイル仕立てにした、ユニークな造形で、グローバルな時代の市民社会のモニュメントとしてすごくいいと思います。


■選考委員 福永 治(広島市現代美術館館長・美術評論家)
fukunaga-300選ばれた作品と選ばれなかった作品に、さほど実力の差があるわけではなく、実際にまちに置かれることを意識して選びました。結果的には具象、抽象、素材の種類、男性作家、女性作家、グループと、バランスの良い選考となりました。
また、アーティストのステートメントには、作家の皆さんの国立についての想いが書かれており、作品の構想や設置場所についても、よく考えられていることに感心しました。
街路に置かれると、きっと楽しく潤いのある景観を作り出すものと想像します。


■選考委員 池田 良二(武蔵野美術大学教授・公益財団法人くにたち文化・スポーツ振興財団理事)
ikeda-300大学のまちでもあるくにたちには、毎年新しい人が訪れますが、グローバルな視点からも、まちのイメージは景観で形作られることが多いと思います。
今回、選ばれた彫刻作品が、くにたちのまちの自然環境の中に設置されるー。このことは、くにたちのまちの、アートによる都市のイメージを発信すると思います。
図面から、リアリティのあるマケット(模型)作成、実物設置に至るプロセスを踏んで、来春、実際に受賞作品が設置されたら、皆さんからまちのイメージについての感想を伺えるのではないでしょうか。