046 「大地からの誕生-潜在する自然性-」

 

中村 ケイ Kei Nakamura

素   材:アルミ合金
実物寸法:72×67×165cm

自然から遠ざかっている日々の生活において、自らと自然との関わりは意識されず、見失われがちである。しかし自らは大地の上に立ち、自然の恩恵を受けながら、その有機的な繋がりのもとに生きていると考える。
 土から生まれ、土に還るという表現は、人間の根源的な姿をよく表している。そして人間に限らず、世界にある全てのものは、もとは土から生じてきたのではないか、とも考える。地球上のものは、それが植物であり、動物であり、地表の岩石や海の水に至るまで、全てが自然の要素のもとに構成されているのであり、それはまるで地中のエネルギーが地表に現れるように、全ての存在は自然から生じており、人間には解明することのできない神秘的な力のもとに創り出されている。
 この作品は大地と人間の関わりを意識しながら、そのなかに宿る目には見えない力を表現したものである。
 日本人は昔から自然を敬い、その中に神秘的な存在を見い出してきた。そのような自然に対する感受性は、これからの社会に必要とされる要素であると考える。そして特に自然の変動が活発な日本において、自然との関わりは避けられぬことであり、またそれが重要な意味を持つ問題として考えられる。