031 「月出」

 

金 景暋 Kyonmin Kimu

素   材:ステンレススチール
実物寸法:159×111×152cm

私は水から現れる動きと音に興味を持っている。物理的、人為的現象によって(雨の音や川の上で虫が動くとき、海の波など)、水は動きがあり、音を出す。この動きと音は、場所や時間と関係があると思う。また、水は形がないけれど、とても不思議な表情を持っていると感じる。このような現象は、自分の心を動かせ、創作に影響を与える。 
ある日、ある時間、自分が感じたことや感情などを言葉(文字)に表現し、この言葉を水の中に落とす。落とされた言葉によって水を動かし、新しい音を生み出せることを大切に考えている。
 今回は、祝祭をテーマとし、その時の我々の感情と言葉を考えながら水の動きを創作する。その時に思い出したのが「月出」である。月は誕生や真理の始まりなど様々な意味を含め、暗いところでもっと光り輝く。特に、満月のときはとてもきれいで、我々の心を動かすのではないか。また、月は時代と場所によって違う姿に見える。私は満月のかたちを考え、月が変化するように、作品も見る角度によって変わって見えることを願う。
 このような要素と、新しい水の動きを、それぞれの表情の中、自分が感じたことや感情などをかたちで表現する。そのかたちをステンレススティール素材で制作し、水の存在感を高める。
 最後に、彫刻の空間性、芸術性、独創性をともに考えながら制作する。