くにたちアートビエンナーレ2015 閉幕のご挨拶
本年3月末に開幕した「くにたちアートビエンナーレ2015」は、8月30日をもちまして無事、閉幕いたしました。準備期間から本日まで、国立市の各界より多くの寄付やお力添えをいただきましたことに、心より感謝申し上げます。
国立駅南側大学通りの緑地帯には、本ビエンナーレの柱となる全国公募第1回野外彫刻展の受賞作品である6点の彫刻作品が展示されました。
桜の美しい季節に設置されてから半年を経て、柔らかい若葉の色を、また夏の鮮やかな深緑を背景として、移り変わる自然のギャラリーの中でその姿を映しています。閉幕後も作品は永年設置され、四季折々、発信をしつづけることでしょう。
さて、本ビエンナーレでは、この野外彫刻展に加え、市民実行委員の企画による提案事業を実施しました。
こどもから大人まで様々な年層の方が参加した彫刻を巡るツアーや彫刻写真コンテストのほか、プロの指導を受け練習を重ねた受講生が、大学通りでプロと合同演奏を行った「桜らいぶ」、周辺地域で活動する多くの作家の作品を展示した「アートウォーキング国立」や、宇フォーラム美術館で開催し、国際交流が行われた「日本・ベルギー国際版画交流展」と「ドイツ版画展」、さらに、92秒のオリジナル映像作品を集めた、「92TOUCH くにたち掌編映像展」、街路樹としての使命を終えた桜材を活用したベンチづくりなど、多岐にわたる分野のアートイベントが華を咲かせました。
また、アートプロジェクト「アフターファイブガバメント」の試みは、芸術を活かすことを模索する地域社会の新たな可能性を示唆することになりました。
会期末に合せた「クロージングフォーラム」では、受賞作家と彫刻家、現代美術家、評論家を招き「彫刻」と「地域アート」をテーマにしたクロストークを行いました。
表現が多様化していく美術に、今まさに身を投じている作家、携わっている評論家が、制作について語ったほか、アートイベントにアーティストはどう関わっていくのか、地域はアートに何を期待しているのか、地域アートの課題にも焦点を当て、次回ビエンナーレへ向けて扉を開くものとなりました。
多くの方々のご尽力により、会期末を迎えることができましたことを、あらためて御礼申し上げます。
公益財団法人 くにたち文化・スポーツ振興財団
理事長 永見 理夫